コンディションとコンディショニング

コンディションとは、体の調子とか環境に適応する時の状態を意味します。

 

コンディショニングとは、環境に適応しながら潜在能力を発揮できようなより良い状態に築き上げる方法で、肉体面だけでなく、精神面・健康面を考慮する必要があります。

 

 

 

 

痛みとコンディショニング

どのような方法でコンディショニングしたら、よりよい状態を築き上げ維持できるでしょうか? 

 

痛みとか調子が悪いところをストレッチやマッサージしても効果が持続しないことを経験したことはありますか?

 

原因に痛みによる脳の運動プログラムの変化があります。

 

 

 

痛みによる代償運動

高張食塩水を上腕二頭筋と上腕三頭筋に筋内注入し痛みを誘発した時、運動課題により筋活動が異なるかを検証した (Ervilha, 2004)。その結果,急性筋痛時での粗大課題での上腕二頭筋の筋活動は、運動初期にのみ低下を示した。

一方,上腕三頭筋と腕橈骨筋は、僧帽筋の筋活動の増加に伴い筋活動が低下したことより、痛みにより上腕三頭筋と腕橈骨筋の活動性が低下した。

 

僧帽筋が代償するようにプログラムが変容された可能性がある.

 

急性筋痛は運動制御戦略に影響を与えることが示唆される.

 

 

 

 

痛みによる運動戦略の変容

43名(男22名)の年齢 18-33歳を対象に、あらかじめ2時間立たせて、腰痛誘発群(PD)と腰痛が誘発されなかった群(NPD)に分け、体幹伸展活動を行わせた。

 

PDは腰部脊柱起立筋(LES)・胸部脊柱起立筋(TES)が収縮した後、大殿筋(GMax)が収縮(頭ー尾)したが、

 

NPDは、逆の尾-頭のパターンを有意に示した。

 

運動戦略が痛みの誘発により変容したことを示唆した(Nelson-Wongら, 2012)。

 

 

 

 

運動プログラムの変容とコンディショニング

 

肩の次に腰が痛くなったからといって肩の不調が原因で腰が痛くなったとは限りません。遠く離れた足へのストレス(歩くことや長く立つこと)が原因の時もあります。逆に、膝・腰・肩・首の不調が足の不調につながり悪循環におちいることもあります。腰の症状が前面に出ているからといって腰だけにアプローチするのでなく、肩へのアプローチも必要です。

 

例えば、肩が痛い時には、高い所の物を取ろうとして手を伸ばす時、背中が過度に反ってきてしまいます。肩が痛いときにその動きを繰り返す事により、手を上げる時に過度に背中を反らすプログラムで動くように脳は運動プログラムを書き換えます(変容)。そのため、今度は二次的に腰が痛くなってくる場合があります。腰が痛くなると、今度はつま先立ちで高い所の物を取ることを繰り返すことにより足が痛くなることもあります。

 

痛い部分を使わないようにするため、本来なら使わない筋肉や関節の動きで代償する新たなプログラムを脳が作ることを繰り返すことにより、たくさんの関節・筋の違和感・不調が生じ、精神面・健康面にも悪影響を与えます。 

 

脳の運動プログラムを適切に作り上げる適切なコンディショニングが必要です。

 

 

 

 

Mobilization PNF Conditioning (MPC) アプローチ

脳・脊髄レベルへの影響

脊髄レベル (上位中枢) の抑制と促通(リバウンド現象)

 

 橈側手根屈筋H波の計測により、運動時の上位中枢の抑制とその後の促通効果が生じることが確認されています(新井,2004; Araiら,2007)。

 

Araiら(2007)は、健常者を無作為に骨盤後方下制の静止性収縮促通手技(SCF手技)を行う群と、H波計測の反対の手による握力計の把持 (把持群) の 2群に分けて橈側手根屈筋のH波の変化の差異を検証しました。

 

SCF手技 での橈側手根屈筋のH波は運動直後に有意な抑制が生じ、80秒後に有意な興奮が生じました。

 

(臨床的効果)

この現象から、整形外科疾患で上肢の障害を有する患者の骨盤のSCF手技後の痛みの緩解と自動関節運動改善の生理学的根拠が示唆されたました(新井,2004)。

 

すなわち、運動時に脊髄レベルを反射性に抑制することにより 筋スパズムが軽減することが示唆されました。また、その後の橈側手根屈筋のH波の促通によりSCF手技により遠隔部位の自動運動を増大させる臨床的効果の生理学的根拠が示唆されました(新井,2004)。

 

 

 

脳活動に及ぼす影響

 

fMRIで検証した結果、PNF運動パターンを用いた下部体幹筋群の静止性収縮促通手技(モビライゼーションPNF手技(SCF手技))と前額面上の下部体幹筋群の抵抗運動による静止性収縮における脳活動の違いを検証しました。

 

その結果、前額面上の抵抗運動による静止性収縮は限局的な脳の賦活が認められたのに対し、SCF手技では歩行に関与する領域である感覚運動野・補足運動野・視床・大脳基底核・脳幹・小脳の広範囲に賦活が認められました(shirataniら, 2014)。

 

 

 

(H反射による上位中枢の研究) 

 

 ■ Arai M, Shiratani T, Shimizu MS, Shimizu H, Tanaka Y , Yanagisawa K : Remote rebound-effect of resistive static contraction of lower trunk on the flexor carpi radialis H-reflext. Proc. of 19th ISEK Cong. 455, 2012.

■ Arai M, Shiratani T : A comparative study of the neurophysiological remote effects of different resistive static facilitation techniques on the flexor carpi radialis H-reflex. Current Neurobiology 3(2): p98-102, 2012.

■ Arai M, Shiratani T : Neurophysiological study of remote rebound-effect of resistive static contraction of lower trunk on the flexor carpi radialis H-reflex. Current Neurobiology 3(1) : p25-29, 2012.

 ■Shiratani T, Arai M. Remote neurophysiological rebound effects of resistive static contraction using a proprioceptive neuromuscular facilitation pattern in the mid-range pelvic motion of posterior depression on the soleus H-reflex. PNF Res   14(1) 11-19   Mar 2014

■  Arai Mitsuo, Shiratani Tomoko, Kuruma Hironobu.  The effects of different force directions and resistance levels during unilateral resistive static contraction of the lower trunk muscles on the ipsilateral soleus H-reflex in the side-lying position. J Rehabil Med (suppl 54). S416. 2015. 

■Arai M, Shiratani T.  The Effects of Different Force Directions and Resistance Levels during Unilateral Resistive Static Contraction of the Lower Trunk Muscles on the Ipsilateral Soleus H-reflex in the Side-lying Position. J Nov Physiother 6(3) 100090   Jun 2016 

 ■Shiratani T, Arai M, Kuruma H, Masumoto K. The effects of opposite-directional static contraction of the muscles of the right upper extremity on the ipsilateral right soleus H-reflex. J Bodyw Mov Ther. 2017;21(3):528-533. doi: 10.1016/j.jbmt.2016.08.004. Epub 2016 Aug 12.

■  重田有希, 白谷智子, 保原塁, 井手夏葵, 桝本一枝,光男. 抵抗運動による間接的アプローチが非運動肢ヒラメ筋H反射に及ぼす影響. PNFリサーチ. 18(1), 1-6, 2018.

■ 竹澤美穂, 新井光男, 井手夏葵, 重田有希, 白谷智子, 保原塁, 桝本一枝.下部体幹筋および下肢筋群の静止性収縮が対側ヒラメ筋H反射に及ぼす影響. PNFリサーチチ. 18(1), 7-12、2018.

 

(fMRIによる脳活動の研究)

 

■ 白谷智子,新田 收,新井光男,他.固有受容性神経筋促通法の骨盤のパターンの中間域での抵抗運動による静止性収縮が手運動野の脳活動に及ぼす影響―機能的MRIにおける検討―.PNFリサーチ.12(1).p39-45.2012

 ■ Shiratani Tomoko, Arai Mitsuo, Kuruma Hironobu, Yanagisawa Ken. The effects of a static contraction of pelvic posterior depression on the brain activities induced by a fMRI in the normal volunteers. 8TH International Society of Physical & Rehabilitation Medicine (Cancun) 2014.

 ■ Shiratani Tomoko, Arai Mitsuo, Kuruma Hironobu, Nitta Osamu, Matsuda Tadamitsu,Yanagisawa Ken. A comparison of the movement directional related activity of antagonist resistance exercises using fMRI. J Rehabil Med (suppl 54). S416-S417, 2015.

 

 

 

モビライゼーションPNFの臨床的効果を国際的に発信

 

  Arai M, Shimizu ME, Tanaka Y, Yamakou T, Tatsumi M, Yanagisawa K: Determine the least amount of work load inducing irradiation of the affected rectus femoris considering the degree of knee flexion of the affected side. 13TH INT'L CONGR WCPT Proceeding, 371, 1999.

 Arai M, Shimizu H, Shimizu ME, Yanagisawa K, Tanaka Y: Effects of the Use of Cross-education to the Affected Side through Various Resistive Exercises of the Sound Side and Settings of the Length of the Affected Muscles. Hiroshima J Med Sci. 50(3):65-73, 2001.

 Arai M, Shiratani T : The remote after-effects of a resistive static contraction of the pelvic depressors on the improvement of active hand-behind-back range of motion in patients with symptomatic rotator cuff tears, Biomedical Research 23(3) : 415-419, 2012.

 Masumoto K, Arai M, Shiratani K, Akagi S, Shimizu A, Tsuboi A, Yanagisawa K, Shimizu ME : Effect of hold relax involved passive stretching of the target muscle and sustained contraction facilitation technique in the middle range of motion of PNF on the active range motion of the knee joint in orthopedic patients. PNF Res 13(1). p1-7. 2013.

 Shiratani K, Arai M, Masumoto K, Akagi S, Shimizu A, Tsuboi A, Yanagisawa K, Shimizu ME : Effects of a resistive static contraction of the pelvic depressors technique on the passive range of motion of the knee joints in patients with lower-extremity orthopedic problems. . PNF Res 13(1). p8-17, 2013. 

 Shiratani T, Arai M, et al. Effects of a resistive static contraction of the pelvic depressors technique on the active range of motion of the knee joints in patients with lower-extremity orthopedic conditions. PNF Res 14(1): 1-10. 2014.

 Arai M, et al.Comparison of the directional after-effects of static contractions in different positions of the upper extremity and different strengths of pinch force on the improvement of maximal active range of motion of the wrist joint in normal subjects. PNF Res 14(1):11-19. 2014. 

 Arai M, Shiratani T. Effect of remote after-effects of resistive static contraction of the pelvic depressors on improvement of restricted wrist flexion range of motion in patients with restricted wrist flexion range of motionJ Bodyw Mov Ther.  19(3) 442-446   Jul 2015.

 Arai M, Shiratani T. Comparison of the effects of remote after-effects of static contractions for different upper-extremity positions and pinch-force strengths in patients with restricted wrist flexion range of motion. J bodyw Mov Ther   19(4) 624-628   Oct 2015.

 

 

パーソナルコンディショニングとMPCアプローチ

 

2018年に、公立大学法人首都大学教授の新井光男は、「潜在能力を導きだし、100年動けるKARADAを作ろう」をスローガンに、mobilization PNF conditioning  (MPC) 技術を開発しました。

 

 新井の大学院での学生時代の5年間と大学教員時代の10年間、合わせて15年間の研究と臨床を重ねて開発した「モビライゼーション PNFコンディショニング (Mobilization PNF Conditioning; MPC)」は、脳科学・神経生理学的エビデンスに基づいたアプローチ法です。

 

脳の運動プログラムを適切に作り上げ (運動プログラムの変容を再プログラム化)、potential(潜在能力)を引き出すことにより 、機能的な柔軟性を増大させます。

 

MPCアプローチは、パフォーマンス・バランス機能・日常生活活動のレベルを向上させ、100年動けるKARADAを作ることを目標にしています。 

 

 

銀座一丁目ビル6FのKARADAコンディショニングスタジオの店舗で撮影しました。

 

首の動きに左右差がある場合のMPCアプローチの紹介。

コンディショニング後に首の動きの左右差が減少しました。

 

 

 

銀座一丁目ビル6FのKARADAコンディショニングスタジオの店舗で撮影しました。

片足スクワットで体幹が傾く時のMPCアプローチの紹介。

体を床に垂直にするようにという指示はしていませんが、体を、より垂直に維持してスクワットが出来ています。

 スクワット時の足のグラツキは残っているので今後の課題です。

 

銀座一丁目ビル6FのKARADAコンディショニングスタジオの店舗で撮影しました。

背中にはり等の違和感がある時のアプローチ例です。

 

 

 MPC講習会のデモンストレーションを編集しました。

 背中にはり等の違和感がある時のアプローチ例です。

 

 

 

機能的ストレッチ (functional stretch) によるコンディショニング

 

手の筋肉と足の筋肉は筋膜によりつながり(連結)、筋膜により手足や身体の動きが影響しあっています。手を動かすと足の筋肉に影響を与えます。手の不調は筋膜により足に影響を与えます。膝・腰・肩・首の不調の連鎖は、筋膜が全身の筋肉を連結していることを考えれば不思議なことではありません。特定の筋肉を過度に鍛えたり、むやみにストレッチをすると、特定の部位から遠く離れた関節や筋に損傷を与える時があります。

 

MPCアプローチは、機能的な動きの左右差を調整(コンディショニング)する機能的ストレッチ (functional stretch) が可能です。

 

機能的ストレッチによりダイナミックに動きやすくなり、体が軽くなるストレッチ法でMPC技術の一つです。

 

 

 

 

パーソナル コンディショニング ・セラピストの認定と養成

 

パーソナルコンディショニング・セラピスト協会では、機能的な柔軟性を増大させ、コンディショニングによるパフォーマンス・バランス機能・日常生活活動のレベルを向上させることを目標として、セラピストの技術の向上を図ることを目標に設立しました。

 

病院に行っても異常がないのに手足のしびれや痛みがある場合や、整体による施術の効果が持続しない場合にも対応できる技術です。

 

パーソナルコンディショニング・セラピストの養成のために少人数で技術伝達し、一定の技術取得者には認定を行います。

 

 

 

パーソナルコンディショニング・セラピスト協会事務局

 

東京都中央区銀座一丁目6-15 銀座一丁目ビル6 

mail; pcts2019@gmail.com

 

 

 

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